地域包括ケアシステム構築に関するご支援

現在、国は社会保障と税の一体改革による社会保障の充実と医療・介護の提供体制の見直しを図る中、その重点改革として取り上げられているのが「病床の機能分化・連携」「在宅医療の推進」「地域包括ケアシステムの構築」です。この3つの改革の核となるのが、地域包括ケアシステムの構築であり、医療・介護・住まい・予防・生活支援サービスが身近な地域で包括的に確保される体制構築を狙いとしています。

この地域包括ケアシステムの導入が進むことで高齢化の進展・疾病構造の変化により、これまでの病院完結型から地域全体で治療する地域完結型へシフトすることで病床の効率化と削減ができ、国の課題となっている膨れあがった医療費削減へつなげることができます。また、患者や医療・介護に携わる多職種にとっても多くの効果を享受することができるようになるのです。

地域包括ケアが患者と多職種にもたらす効果

患者/職種効 果
患 者
  • 重複検査の負荷から解放される
  • 医療機関を受診するたびにそれまでの治療や薬の内容を説明する面倒が少なくなる
  • 不必要に同じ薬をもらわなくて済む
  • 突然の受診でも、医療機関側が治療内容・飲んでいる薬・アレルギーなどの体質をある程度把握できている
  • 医療から介護・介護から医療の双方で、途切れることのない診療・介護を受けることができる
医 師
  • 治療上問題となる病名や処方内容が分かる
  • 重複処方を発見できる
  • カルテ、処置、処方に関する情報を見ることで安心できる
  • 紹介状に書かれていない情報を把握できるようになる
  • 健診データを含めて経過を把握できる
  • 薬の飲み合わせ、注意すべき病気などをチェックし易くなる
看護師
  • 初診患者、救急患者の情報を入手し、担当医に伝えられる
  • 退院時カンファレンスに応用できる
  • 癌患者の外来疼痛管理に応用できる
薬剤師
  • 病名がわかってありがたい(服薬指導時)
  • 重複処方、併用注意、併用禁忌がわかる
介護士(ヘルパー)
  • 医療情報(処方、検査結果、病名)が分かって安心できる
  • 介護業務の効率化ができる、特に訪問看護時のバイタル情報取得と医師への伝達
ケアマネージャ
  • ケアプランの送付をオンラインでできる → 手間と経費削減
  • ケアカンファレンスの事前準備が可能
  • 患者受け入れ時の業務工数が大幅に削減できる

地域包括ケアが医療機関と介護施設にもたらす効果

医療機関/介護施設効 果
地域中核病院
  • 急性期治療後の診療を、患者にとって利便性が高い医療機関へ十分な情報を伝えて依頼することができる
  • 救急の初診患者でも、他の医療機関での治療状況を把握することができる
  • 癌治療・化学療法の前後における口腔管理など、歯科との連携を図ることができる
  • 介護施設からの日常生活動作レベル情報などを元に、退院に向けたリハビリのゴール設定ができる
  • 退院後のリハビリ継続を他施設に依頼することができる
  • 紹介から逆紹介の流れをスムーズにすることで、ベッド稼働率が高くなる
医科診療所
  • 病院など他施設への紹介に際し、短時間で紹介状を作成できる
  • 病院などに紹介した患者の検査結果や画像を確認することができる
  • 他施設から依頼された患者について、必要な情報の入手が容易である
  • 糖尿病や骨粗しょう症などの治療において、歯科との連携を図ることができる
  • 介護施設利用者の状態把握を行いやすくなる
  • 高額医療機器の共同利用で投資を抑えられる
歯科診療所
  • 病院など他施設への紹介に際し、短時間で紹介状を作成できる
  • 病院などに紹介した患者の検査結果や画像を確認することができる
  • 他施設から依頼された患者について、必要な情報の入手が容易である(糖尿病や骨粗しょう症などの治療において)
  • 介護施設利用者の状態把握を行いやすくなる
薬局
  • 院外処方箋に記載されていない病名を把握できるため、より確実な服薬指導ができる
  • アレルギー・禁忌薬・副作用を参照し、安全性の面から必要な提案を患者や主治医に提示することができる
  • 他施設で処方されている薬や処置、注射などを参照することで併用禁忌や調剤内容を検討することができる
介護施設
  • 利用者が入所サービスを利用する際に、処方施設をまたいだ内服薬の確認など、医療機関での診療内容を把握することができる
  • 病院から退院した利用者に対し、注意事項・リハビリ留意点・日常生活動作レベルなどを確認できる
  • 利用者が入院する際に、日常生活動作レベル・生活背景などの情報を病院に提供することができる

しかし、地域包括ケアシステム構築にあたってなすべきことや課題が山積しているのも事実です。まず、急性期の受け皿となる地域の病床や在宅医療・介護の充実など、川上から川下までの提供者間をすべてネットワーク化しなければなりません。また、大病院からの情報提供だけでなく、診療所や介護施設等も含めたより多くの施設等による双方向の情報連携が重要です。ネットワークの相互利用性や継続性にも課題があります。ネットワーク間での情報共有を進めるためにはその構造が異なると難しくなってしまいますし、システムの運用コスト負担の問題をクリアしなければ持続性が損なわれます。また、医療安全の向上・健康維持・増進等のためには、医療・健康記録の本人による利活用を進めていくことが重要であることに注目しなければなりません。

更に、地域包括ケアシステム構築・導入・運用にあたってITガバナンスを向上するため、また法令及び厚生労働省・総務省・経済産業省の各種ガイドライン遵守のためには、システムの実態に見合った様々な規約や規程を策定する必要があります。

これらの課題等をクリアし、継続性の高い効果的な地域包括ケアシステムを構築するにあたり、弊社は以下に関するご支援をさせて頂くことができます。

  • ユーザーが求める要件、地域性による要件などを取りまとめ、施設内の業務や施設間及び職種間の連携業務を設計
  • ネットワーク運用に係るコストの削減
  • ITベンダーに対する情報提供依頼(RFI)実施、提案依頼書(RFP)作成
  • ITベンダーによる見積書の精査、提案の評価
  • プロジェクト管理(ユーザーとしての進捗・コスト・品質・変更・課題等の管理)
  • 受け入れテスト・教育・移行・リハーサル等の本稼働準備
  • ネットワークシステムを取り仕切る協議会の運営(ヘルプデスク、ITベンダー間の調整、事務業務請負など)
  • 個人情報保護、情報セキュリティ、システムの運用管理などに関する各種規約及び規程の策定
  • 各種規約及び規程を周知するための講習会講師
  • 個人情報保護、情報セキュリティ、システムの運用に関して定めたルールが守られているかの点検確認

【参考】関連ガイドラインと法令

関係者所管省庁法令・ガイドライン
全事業者 消費者庁 個人情報の保護に関する法律
医療機関介護施設 厚生労働省 医療・介護事業者の適切な個人情報の取扱いのためのガイドライン
医療機関介護施設 厚生労働省 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第4.2版)
ASP・SaaS
サービス事業者
総務省 医療・介護事業者の適切な個人情報の取扱いのためのガイドライン
ASP・SaaS
サービス事業者
総務省 ASP・SaaS事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン(第1.1版)
情報処理事業者
(データセンター等)
経済産業省 医療情報を受託管理する情報処理事業者向けガイドライン

※上記法令及びガイドラインに基づき、患者から同意を取得する手順と様式、システム利用者、ITベンダー、保守事業者、ネットワークシステム事務担当者などが遵守すべき規程を整備し、周知・運用しなければなりません。